事業承継を検討するにあたって

事業承継を検討するにあたって

 

1 事業承継について

 

 事業承継という言葉自体、いまさら目新しいものではありませんが、平成17年10月以降、国策として事業承継対策が講じられるようになり、各種制度が整備されたことから、事業承継に注目が集まるようになりました。
 平成18年6月 「事業承継ガイドライン」発表
 平成20年5月 「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」制定
 同年10月 金融支援措置施行
 平成21年3月 遺留分に関する民法の特例制度施行
 同年4月 新事業承継税制施行
等々

 

 以下、事業承継を検討するにあたって、基本的な進め方を紹介します。
 中小企業基盤整備機構のJ-Net21では、事業承継の情報を集約したポータルサイトを開設しています。
 また、中小企業庁作成の「中小企業事業承継ハンドブック」は、事業承継に役立つ情報を分かりやすく掲載していますので、事業承継を検討する場合には手始めに上記ハンドブックを読むことをお勧めします。

2 事業承継の方法

 事業承継の方法は、大きく分けて3つあります。それぞれメリット、デメリットが異なり、講じなければならない事業承継対策も異なります。

 

(1) 親族内承継
 先代経営者の親族(ご子息等)へ承継を行う場合をいいます。昔からよく利用されている典型的な承継方法です。
(2) 親族外承継
 親族ではない従業員・役員等社内の人へ承継する場合や、外部から後継者を雇い入れる場合をいいます。
(3) M&A
 第三者へ株式を売却したり、事業譲渡などの手法を用いて、会社そのものを売却する場合をいいます。

3 事業承継の視点(親族内承継の場合)

 

 以下の4つの視点で整理するのが効率的です。
  ① 経営の承継
  ② 自社株式、事業用資産の承継
  ③ 必要な資金の確保
  ④ 相続税・贈与税の対策(税金対策)
 ①経営の承継
 後継者教育を行うことによって、経営理念や経営ノウハウを承継させることをいいます。
 社内・社外を通じて、どのように後継者教育を行っていくかを検討していくことになります。
 ちなみに、ここは、中小企業診断士が得意とする分野です。

 

 ②自社株式、事業用資産の承継
 後継者に安定した支配権を確保させるために、できれば3分の2以上、最低でも過半数の自社株式(議決権)を承継させることが必要です。
 また、中小企業の経営者は、個人の資産(不動産等)を事業に利用していることが多く、事業用資産も後継者に承継させなければ、事業の継続が困難になる場合がありえます。
 従って、自社株式、事業用資産をいかに承継させるかを検討することが必要になります。
 ここは、相続法と会社法の知識が必要になり、弁護士が得意とする分野といえます。

 

 ③必要な資金の確保
 自社株式や事業用資産の買取資金、相続税の納税資金、さらには、承継時の運転資金として、多額の資金が必要となる場合があります。このような資金がいくら必要か、その資金をどうやって確保するかを検討していきます。
 ここは、税理士や中小企業診断士が得意とする分野でしょうか。

 

 ④相続税・贈与税の対策(税金対策)
 相続税・贈与税の節税対策、税額の試算、納税方法等を検討していきます。
 ここは、やはり税理士が強い分野です。

 

4 事業承継の手順(親族内承継の場合)

 事業承継は、次のような手順で進めるとよいでしょう。
(1) 現状の把握
 ここが一番大事な過程となります。時間をかけて十分に現状分析を行ってください。以下の視点で現状分析を行うと整理しやすいと思います。

  ① 会社の経営資源(ヒト・モノ・カネ)の状況、財務状況
  ② 経営者の資産・負債(個人保証含む)の状況
  ③ 家族関係、会社の主要な関係者の状況
  ④ 後継者候補の状況
  ⑤ 相続発生時に予想される問題点(相続問題、相続税等)

 

(2) 後継者の決定
 親族内に適性のある後継者がいない場合、親族外承継やM&Aの検討も必要になります。
(3) 事業承継計画の作成
 この事業承継計画を作成するなかで、前述のような事業承継対策を検討していきます。事業承継計画には、中長期の経営計画に、事業承継の時期、具体的な対策等を盛り込みます。
(4) 事業承継計画の実行
(5) 事業承継計画の見直し
 実行に移した後も、適宜計画を見直すことが必要です。

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