国境を越える電子商取引の消費税が変わります

04.13

<はじめに>

ITの進展などにより取引がグローバル化し、以前は発生しなかったような税金の問題(BEPS;: Base Erosion and Profit Shifting)を解決するために、先進国は協調して税制改正を行っています。日本でも平成27年度税制改正において、国境を越える取引(特にいわゆる電子商取引)に対する消費税の取り扱いが改正されることとなりました。

 

<国境を越える取引の原則的な取扱い(輸出免税)>

国境を越えて、商品を販売したり役務の提供をする場合、その販売代金には0%の消費税が課税されると考えます。これを輸出免税といいます。その結果、国内で行った仕入や経費に係る消費税について還付を受けることができます。

還付を受けることができるので、海外へ販売するほうが有利なように見えますが、本当にそうなのでしょうか? 2つの例を考えてみます。なお消費税率は2015年4月時点の8%とします。

① 国内で800円(税抜)のものを仕入れて、国内で1000円(税抜)で販売する場合

② 国内で800円(税抜)のものを仕入れて、海外へ1000円(税抜)で販売する場合

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①の販売価格は1,080円なのに対し、②は1,000円です。結果、①の場合は消費税の納税額が16円となり、②の場合は、消費税が64円還付されます。不公平なように見えますが、税抜の利益の額は変わりません。手許に残る現金も、ともに200円となります。販売先が国内であっても海外であっても不公平が生じないようになっています。

 

<不公平が生じる場合>

しかしながら、取引のグローバル化により、不公平な状況が生じる場合が生まれています。

海外からのインターネット等を通じた電子書籍・音楽・広告の配信やクラウドサービス等の役務の提供には、現在は消費税が課税されません。一方、国内事業者からの役務の提供には消費税が課税されます。これは国境を越える役務提供の場合には、役務を提供する者の事務所の場所で課税の有無を判定するからです。同じサービスなのに、事務所が海外であれば消費税が課されず、国内であれば消費税が課税されるのです。

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(経済産業省「平成27年度 経済産業関係 税制改正について」P39より抜粋)

そこで競争環境の公平性・中立性を確保する観点から、海外からのインターネット等を通じた役務の提供に消費税を課することとされました。

 

<具体的な内容>

(対象となる取引)

平成27年(2015年)10月1日以降、海外からの電子書籍・音楽・広告の配信やクラウドサービス等の役務の提供は、その提供を受ける個人・事業者が日本在住者の場合には、消費税が課税されるようになります。その課税の対象になる取引を「電気通信役務の提供」と言います。その対象は著作権の利用の許諾を伴うものが含まれるため、海外からの電子書籍・音楽・広告の配信のみならず、幅広い取引が対象になると思われます。

 (課税の方法)

B to C取引とB to B取引とで、課税や申告の方法が異なります。

① B to C取引の場合

海外の事業者が日本で消費税の申告納税を行う必要があります。(登録国外事業者制度が新設されました)

② B to B取引の場合

役務提供を受けた日本の事業者が、その消費税を預かって、海外の事業者に成り代わって、消費税の申告納税を行います(”リバースチャージ方式”)。対象となる取引を行っている日本の事業者は、経理システムの改定が必要と考えられます。

 

 <最後に>

冒頭紹介しましたが、国際税務に係る税制改正が毎年のように実施されています。コンプライアンスを守り、予期せぬ法律違反を防ぐためにも、国際的な取引を実施されている事業者におかれましては、国際的な経験に富んだ専門家に相談されることをお勧めいたします。(なお本内容は2015年4月時点での情報であり、今後変更される可能性があります。税法に関する詳細な取扱いは税理士または税務署にお問い合わせください。)

中小企業診断士・税理士 片山康史 (mpa メンバー)

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