【シティマーケティング書評】シティプロモーションによる地域づくり   -『共感』を都市の力にー

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タイトル  :

『シティプロモーションによる地域づくり-『共感』を都市の力にー第14回都市政策研究交流会』

発行年月日 : 2014年3月
企画・編集 : 公益財団法人日本都市センター
ページ数 :125ページ

シティプロモーションによる地域づくり―『共感』を都市の力に― 第14回都市政策研究交流会 (日本都市センターブックレット33)

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(目次)

基調講演:どうなればシティプロモーションは成功なのか ~計画倒れにならない戦略づくり~
東海大学文学部広報メディア学科教授 河井孝仁

事例報告1:弘前市シティプロモーション事業の紹介
弘前市経営戦略部広聴広報課主事 田澤征治
事例広告2:東広島市シティプロモーション事業の紹介
東広島市企画振興部市政情報化課長 福光直美
意見交換会

(概要)

第14回都市政策研究交流会
シティプロモーションによる地域づくり
-『共感』を都市の力にー

本書は2013年7月8日開催の上記交流会の報告書です。
東海大学文学部広報メディア学科河井教授の講演と、弘前市・東広島市、2つの市からの事例報告の様子が掲載されています。

(感銘を受けた点)

◆河合教授の講演
地域を持続的に発展させるために必要な「魅力」の発掘から始まり、ヒト・モノ・カネ・情報を地域内部で活用可能にするために、スモールスタートから段階的に発展させていく手法を様々な都市を例に挙げながら説明しています。
最初から完璧を目指すのではなく、途中の段階で押さえるべきことが明記されています。研究者として順を追って分かりやすく記載してあります。

◆弘前市の事例
市の魅力を創り出し、情報発信することで交流人口の拡大に繋がった成功例です。担当の田澤氏の力が大きいようにも見えますが、PR応援サポーターをつくり、市民との協働も出来ている点は参考になります。

◆東広島市の事例
シティプロモーションは目的ではなく手段と捉えています。現在は人口が伸びていますが、いずれ人口減少を迎えることを予測したうえで、未来を見据え、『選ばれる都市』になることを目指しています。
工夫して未来に向かって成長していくまちだということを感じてもらうために市民と一緒に活動しており、双方向のコミュニケーションを大切にしています。

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(事例)

【弘前市】
施策:プレスリリースの作成
インターネット上でのプレスリリース配信を活用し、全国のメディア会社へ配信を行った
目的:弘前市の露出を高める・お金をかけない
効果:全国テレビが取材に来た=露出が高まった
課題:田澤氏が独自に書き方・リリースの仕方・情報のデザイン化を学んで遂行したとのことです。

基本的に担当者一人による施策であるため、広げるため・継続するためには後継者を育てる必要があると思われます

【東広島市】
施策:①「知」-東広島ブランドの構築
②”With人々”型の情報発信
-コミュニケーション戦略
③価値共創ー推進体制の構築
目的:情報が多い時代の中で一方的な情報発信だけでは通用しない、自分の関心ごとと捉えてもらい、東広島市という都市の価値を一緒に作っていく
効果:市民みずから価値を構築し、東広島らしさを発信することで市外からも評価されプラススパイラル効果が生まれる

(興味深い施策)

住民の行動、主に若年層の地域参画を図るためにゲーフィミケーションを利用している点が興味深いです
<方法>
・大学生や高校生の少人数グループに「10年後の市の予算をつくってみませんか」と募集。(ハードルを下げるため今後の人口構成や、現状の数字を入れると今後の歳入出の大枠が分かるような仕組みは必要)

・個人ではなくグループ単位でそれぞれが得意分野を持つ学生、3~4のグループに参加してもらい、途中経過でもどんどん褒める。
・相互に「見える化」をさせる。
Aグループはここまで進んでるのに我々はまだ出来ていないと認識をさせたり、Cグループは財務課にヒアリングを行って褒められたそうだ。等、担当者が共有ページに書くことで「頑張らなくては!」と思わせ競争を促す。
・中間段階で発表したり、最後に最も積極的だったグループに市長からの感謝状を渡す

・このようなイベントを通じていつの間にか、市の「これから」について考える学生が何人か出てくれば、今度はその学生を、積極的に発信する素材として、あるいは彼ら自身をメディアとすることが可能となる。

(シティマーケティングの視点について)

・発掘と言う視点
・創出と言う視点
・現状に満足せず、くふうして未来へという視点
上記3つの視点は過去・現状・未来とつながっていくために必要な視点と考えられます。

<留意点>
市民参加型については「一部の住民だけが参加して一生懸命やってるけど、自分は蚊帳の外だ」と疎外感を感じさせないようにする必要があります。

(その他)

講演の内容を文字起こしされた部分と、発表の際に使われたパワーポイントが掲載されています。非常に臨場感があり、実際の講演を聞きたかった!という気持ちにさせてくれる資料です。また事例報告もご本人たちからの報告であるため課題なども見え参考になります。

中小企業診断士 萩野豊子 (MPAメンバー)

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