消費税と資金繰り

03.30

消費税率は平成26年4月に5%から8%に引き上がりました。
さらに平成29年4月からは10%への引き上げが予定されています。
個人事業主などは平成26年度の申告で既に実感していると思いますが、これから決算を迎える企業で特に注意したいのが消費税の納税です。

消費税の納付額は原則、売上時に預った消費税から仕入れ時に払った消費税を差し引いて計算します。
事業者にとって消費税は一種の預り金であり、本来なら損益には影響なく、税率引上げによって納税に困ることもありません。
ただ、現実では消費税の滞納は非常に多く発生しています。
平成25年度に発生した国税の滞納額5,477億円のうち、実に半数超の2,814億円が消費税の滞納です(国税庁HPより)。
消費税は取引に対してかかる税金なので、赤字であっても納税義務が生じます。
特に給料や賞与などの人件費は消費税の対象外であり、どれだけ支払っても消費税の計算上差し引くことはできません。
また、中間納付がない場合、消費税の納付期限は法人であれば決算日から2か月以内、個人であれば翌年の3月31日の1回払いです。
この場合、売上による消費税の受取から納付まで最長で1年超開いてしまうため、本来納税に充てられるべき消費税が日々の運転資金に使われてしまい、納税時期に資金が工面できない、というケースもよく見受けられます。

消費税3

これらの理由で消費税は納付が困難になるのですが、今回の引き上げにより納税額が増加することで、さらに注意を要する必要が生じます。
例えば3月決算法人の場合、今回の引き上げにより納付する消費税額は従来の1.6倍になります。
従来が10万円の納税であれば今後は16万円、100万円の納税であれば実に160万円の納税が生じることになります。
これが平成29年4月以降では、納税額は従来の2倍に膨れ上がることになります。

消費税4

増税分の価格転嫁ができている事業者は税率引上げにより、日々手元に入るお金が増える錯覚に陥るかもしれませんが、これは納税額の増加によるものです。
資金繰り表を作成して、納税に充てるべき資金をしっかりと把握し確保しておくことが大切です。
また、現在の売上高や利益を税込金額で把握している事業者については税抜金額での把握をお勧めします。そうする事で預かっている消費税額が明確になり、納税に備えることができます。
なお、今回の税率引上げに伴い、中間納付義務がない事業者でも任意で1回の中間申告を行うことができるようになりました。
計画的な資金繰りが苦手な事業者の方は、活用を検討してみてはいかがでしょうか。

税理士・中小企業診断士・CFP® 小林直人(mpaメンバー)

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