中小企業が海外でシステム導入する際の留意点

03.10

私は、海外で日本人と外国人の混成チームでのサプライチェーンのプロセス改革導入プロジェクトを行ってきました。本稿ではその経験から、中小企業が海外でシステム導入の留意点を挙げてみます。参考にしてください。

  • 目的・ゴールをはっきりさせる

言葉・習慣・考え方の異なる多数の人々が新たなプロセス(今回はシステム導入)に取り組む時、中には「なぜこんな面倒なことをやるのか」と不満に思ったり、「自分はこう思う」と言って異なる解釈で異なる方向へ向かってしまう人も出てきます。人間にとって何か新たなことをやるのは常に困難なものですし、それを乗り越えて新しいことを立ち上げるためには、「何のためにこれをやるのか」「何の利点があるのか」を短い言葉で明確に分かっておいてもらうことが肝要です。1行で言えるスローガンを考えましょう。

  • 誰でもできるやり方にする

日本人的なシステムの運用は手動オペレーションで詳細な気遣いの必要なものが多く、誰でも手を動かして運用してくれる勤勉な有り難い労働力のおかげで成り立っているケースが多くあります。しかし、海外では労働力の質にもっとバラツキがあるため、人依存の運用は継続が困難です。海外に導入する時には、誰でもできるよう運用を明確(論理的)に分解、マニュアル化して、運用は誰がやってもアウトプットは同じといった再現性を高めましょう。

 

  • ユーザー側とシステム側の役割分担が日本と異なる

日本では通常ビジネスユーザー側にはシステムが分かる人を置かず、社内のシステム担当部署又は社外のシステム会社がビジネス・システムの双方が分かるSEをそろえるケースが多くなっています。そして、システム側がビジネス側から詳細なヒアリングをしてビジネス要件定義を支援します。つまり、日本のビジネスユーザーは導入したい改革内容をビジネス用語で伝えるだけで、システム側が詳細な書類に落としてくれる訳です。また、開発・テストも完ぺきに終えて、ユーザーテスト時にはバグなどほとんどなく、ユーザートレーニングの代わりとしてユーザーテストを行う、という役割分担が当たり前になっています。

ところが海外では、ビジネス側にプロジェクト専任担当部隊やプロジェクトのエキスパートを置くことが多いです。ビジネス側のプロジェクトエキスパートが、システムに詳しくないビジネスユーザーから要件聞き取りをし、詳細なビジネス要件定義書を作成してシステム側に渡します。

日本方式に慣れたビジネス側は、海外のシステム会社と付き合う時に彼らが日本のシステム会社と同レベルのサービスをしてくれることを期待していますが、要件定義支援は通常やってくれません。稼働後のシステム運用・サポート分野においても、日本のように「言えば何でもやってくれる」訳ではありません。

要件定義・バグ出し・導入後サポートなど、日本と海外ではビジネス側とシステム側の役割・期待がかなり異なりますから、事前に①どういうタスクがあるか、②相手はどういう組織で誰がどこまでの役割・権限を担っているか、③相手がどこまでをやれるか、④自分たちがどこまでをやれるか、を詳細に確認しましょう。或いはコストはかかりますが、ビジネス要件定義書を作成してシステム会社に渡してやりとりできる人を一定期間契約して雇うというやり方もあります。この点は今後の手間といった長期的視点に立って、どちらが良いか丁寧に検討していく必要があると思います。

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  • 海外流の「アバウト」さを受入れる

事業の競争力に直接関わる部分は別として、最初は日本での品質管理レベルより一段低くても「よし」とする心持ちで行きましょう。「日本ではシステムのユーザーテストでこんな数のバグが出るなんて許されない」と言っても、「バグ出しをして直すためにユーザーテストがあるのでしょ?」というのが海外での認識です。最初から高いレベルの品質を追い込み過ぎると、時間もお金もかかります。海外流の「アバウト」さを受け入れられる部分はそれでスタートし、徐々にレベルアップしていく心持ちで進めましょう。

中小企業診断士 長田真由美 (MPAメンバー)

 

 

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